なぜ断熱材に羊毛を使うのか?

羊毛断熱材を私達が使い始めたのは、20年ほど前になります。
当時は土壁を断熱材として使用していました、土壁は調湿機能があり内部にある木材を健全な状態に保ってくれるのですが、壁を壁内に修め内装をすると内部の仕上げ材と土壁の間に空気層ができ、ほとんどの場合、結露を招いてしまってました。
また、繊維系ミネラル断熱材(グラスウールやロックウール等)は、充填断熱で室内側に防湿シートを施工するという、気密化が一番難しい工法を取らなければならないという不利が、気密住宅を推進しているグループから敬遠され始めてきたのです。
しかし、充填断熱の工法は一番シンプルで理にかなったものなんです。
従来からの伝統工法や在来工法でも充填断熱が採用され続けました。
ではなぜ繊維系充填断熱工法から外壁断熱や発泡系充填断熱工法に変わっていったのでしょうか?
問題は断熱方法じゃなくて、断熱素材が日本の高温多湿の気候風土に合っていなかったということに尽きるのです。
つまり、より断熱効果を高めるために熱抵抗値の高いグラスウールやロックウールに厚みを増やしていった過程において、壁内結露が起こってしまい、その事後策として気密が簡単に取れるであろう発泡系や外壁断熱に流れていったのですね。
当初の断熱材の選定に、ミネラル繊維系断熱材ではなく吸放湿性がある断熱材を選定できていれば、日本の住宅に無意味な高気密高断熱などという工法が蔓延することはなかったと思っています。
今も昔も日本の木造住宅は、調湿・透湿があるほうが長持ちもし、風通しを楽しみ、四季の移り変わりを肌で感じる住まい方が出来るので、良いに決まっています。
気密をして、湿気の流れを完全に遮断する「高気密高断熱」の考え方は、理論は合っています。間違いではありません。でもあれは鉄筋コンクリート住宅に向いている工法です。
木造住宅でこの理論で建ててしまうと、最初のうちは気密がしっかり取れているので、結露の問題は出ませんが、20年以上経ったときに気密化工事が最初のクオリティーを保たれているかが問題なのです。つまり、『気密施工の劣化が始まる』のです!
気密によって結露を防止している工法が、気密が取れなくなれば、通常の断熱工法以上に激しく結露する危険があります。木造住宅の耐久性は、使用する木材が腐朽に強いかどうかの樹種の選定と、木材を腐朽させる菌の繁殖をどう止めるかにあります。
繰り返しますが、気密による木造住宅の耐久性は、その気密化がどれだけ持つのかに掛かっているのです。
ちなみに気密化をするときにどれくらい注意が必要かということと、長期に亘ってその性能を維持することがどれだけ難しいかを検証してみましょう。
まず、一番大事な気密化工事について。
住宅は職人の手仕事です。気密化工事も手仕事で行われます。つまり、人間が行う仕事の正確さにはばらつきがあることが問題なのです。人それぞれの能力の差で気密性能が変わってしまうことが問題。
工事期の施工不良は、竣工時に気密測定をする住宅会社の場合はクリアされますが、まだ住む前までの性能が保障されたに他なりません。
住み始めてからの気密はどう変化していくのでしょうか?
気密化は主に、気密シートによるものと現場発泡によるものがあります。
どちらも石油化学系のものです。
気密シートとはポリエチレンという、エチレンが重合した最も単純な構造を持つ高分子であり、耐環境応力亀裂性が低く、長期(20年以上)の使用に耐えられる素材ではないことが分かります。
現場発泡系も、吹付による現場発泡で隙間なく施工できると謳っていますが、発泡したものは必ず縮みます。縮めば隙間が出来て気密が取れなくなってしまいます。
つまり、「気密」という人為的な工法は必ずほころびが出てきてしまい、超長期の使用に耐えられるだけの保障は出来かねるということに尽きるのです。
気密が気密でなくなり結露しだすと、それを止めることは不可能で、後はただただ結露が腐朽菌の活動を増幅させて、住宅の耐久性を著しく損なうことにつながってしまいます。後々の補修・改修に莫大な費用が生じてしまうのです。
此処まで気密のことで大分時間を使ってしまった・・・。
此処からが本題!
まず結論じみたことから・・・。
気密という人為的な工法を取れば、超長期に亘っての断熱効果や結露防止は難しいことが分かったと思うのです。
ではそうじゃない『呼吸(調湿)出来る素材』での断熱だとどうでしょうか?
最大のアピールポイントは、調湿によって結露環境にさせない!ということなのです。
結露する条件は「湿気の移動」と「温度と湿度の相関関係」です。
気密化は「湿気の移動」を止めることによって結露させないとしています。
調湿断熱材は「温度と湿度の相関関係」を利用することで結露させないのです。
内外の温度差とそのときの湿度の相関関係で結露は起こります。
調湿性能の高い断熱材を使うと、その相関関係を結露しにくい環境にその素材の特性として行ってくれるのです。
人為的なことを行わずして、自然界で培われてきた各素材の物性・特性を利用させてもらう考え方なので、その効果は長期に亘って維持されるのです。
調湿出来る特性を持った断熱材は
「羊毛断熱材」
「セルロースファイバー」
「炭化コルク」
「杉皮ボード」
などがあります。
上記の中でも、その調湿性能は色々ありますし、同じ調湿断熱材にも数ブランドずつありますので、しっかりとその特性である「調湿性能」が発揮できるものを選ぶことが大事です。
弊社はその中でも、調湿性能が最も高い特性を持った羊毛を使って(羊毛断熱材ウールブレス)を家づくりをしているのです。
羊毛が持っている高い調湿性能によって、たとえ温度と湿度の相関関係において結露が生じるようなことがあっても、すぐに吸湿がはじまり、結露環境を長く維持できなくすることが出来るので、結露が招く腐朽菌の繁殖も極限まで押さえることが出来るのです。
そして、この効果が羊毛の持っている物性・特性のおかげで半永久的に持続できることが、住宅の耐久性において高い効果を期待できるのです。
人為的な工法ではなく、自然が身につけた特性による断熱材がもたらす素晴らしさを理解できると思っています。
・・・というように、木造住宅での断熱の方法で、実質的な住宅の寿命は大きく変わります。

畳の話

畳の話

住宅会社に家づくりの話を聞きに行くと、
「メーターモジュール」「尺モジュール」という
言葉が出てくることがあります。

これは何かというと、メーターモジュールとは、家を建てる時に、
1つの区切りを1m(1000mm)にしている、
1グリッドを1m×1mとしている規格のことです。

これに対して尺モジュールとは、
1つの区切りを日本古来の尺貫法という測り方である、
3尺(910mm)を1つの区切りとしている、
1グリッドが910mm×910mmの規格のことです。

ちなみに、日本人の平均的な肩幅は
1尺5寸(45.5cm)と言われていて、
廊下で人がすれ違う場合には二人分の3尺(91cm)が必要です。

このため畳の短い方の1辺はこの長さ(3尺)が基準となっています。
長い方の1辺は、畳を組み合わせやすくするため、
倍の6尺(182cm)が基準となっています。

人の体のサイズと畳のサイズを比較してみると、
人が座るのに必要なサイズが半畳、寝転がるのに必要なサイズが1畳、
両手足を広げて寝転がるのに必要なサイズが2畳、
つまり1坪となります。

しかし、実は畳には地域差があるのです。
3尺(91cm)×6尺(182cm)サイズの畳は中京間と呼ばれ、
愛知県周辺に多いです。

ところが西日本では幅に余裕を持たせ、
3尺1寸5分(95.5cm)×6尺3寸(191cm)の京間、又は関西間と呼ばれる畳が一般的で、
東日本では2尺9寸(88cm)×5尺8寸(176cm)の江戸間と呼ばれる
小振りなものが使われるが多いのです。
因みに、京都の京都御所では御所間などが存在します。

間取りの考え方にも地域差があります。

京間や中京までは、畳を並べた寸法に合わせ、
その外側に柱を立てます。
そのため、柱の中心から柱の中心までの距離は、
畳+柱1本となります。


メリットとしては、ふすまや障子も畳のサイズを基準にするので、
規格化され使いまわしが可能になります。
この畳を基準にする方法を畳割と呼びます。

これに対し関東では、
畳ではなく柱と柱の間の距離を基準にします。

そのため、使う畳の枚数が違う10畳間と6畳間では畳の寸法が
異なるようになり、使いまわしができないのです。
この方法を柱割りと呼びます。

江戸間に、伝統的な和ダンスセットが
おさまらないことがあるのは、このためなのです。

ただ柱割りでは、柱の太さにとらわれないため、
施工が楽で速いというメリットがあります。

そのため、火事の多かった江戸で使われ始めたといわれています。
こういった利便性の高さ、そして近年では和室の減少もあって、
現在では柱割りが多くなっているようです。

和室の利用は減っては来ましたが、最近では縁のない
半畳の琉球畳を使う方も多くなってきました。

これは和室でなくても、リビングの一角に敷くことで
畳の応接スペースを作ったりできるため、
最近では人気が高まっています。

暮らしの用途に合わせて対応できますので、ぜひご相談ください。

自然共生の家とは

テーマについて...

テーマは「自然共生」自然の力を最大限に活かした、頑丈で、長持ちする、快適な家づくりを目指す

なので、「自然共生の家」としています。

何故か?

地元で3代工務店を営んできて、小さな工務店だからこそ商品に妥協できない。

殆どが、紹介で今までやってきました。皆さんに信用してもらったこそ紹介してもらって工務店を営んできました。

適当な仕事をして、安物の材料を使って、利益を追求すればその方が商売としては正解なのかもしれません。

しかし、そんな事はいずれは分かる事です。今すぐには、わからなくても20年後30年後には必ず差が出てきます。

その差が出た時に、一番大変な思いをするはお施主様です。僕はこの大亀工務店を信用して紹介してくださった方々や仕事を依頼して下さった、お施主様にそんな思いをして欲しくありません。

自分にとって自分を信用して下さった大切な人なのです。

今では「自然素材は健康のために使用する」と思われている方は殆どではないでしょうか?

本来、昔からこの仕事に携わっている職人であれば自然素材を使う事は意味が違うものなのです、

「健康のため」は後からついてきたもので、本来は「家を長持ちさせる為」です。

自然素材である木材は表面を通気できない素材で覆うと湿気が上手く出て行かなくなり常時濡れたような状態では腐朽菌が繁殖し腐食がはじまってしまいます。

木材は濡れれば腐るのでなくて、乾燥できなければ、腐朽菌が繁殖して土に還ろうとします。

人工的に接着し加工した木材は湿気を含んだり乾燥したりを繰り返すことによって遂には接着した界面が剥離します。

だから、水は大敵なのですが、自然素材である無垢の木材は剥離なんて皆無なので、乾燥さえすれば全然大丈夫なのです。

「自然素材は常時濡れた状態では腐朽菌が繁殖して土に還る。」これを避けるには、湿度が調整できる事です。

昔から使っていた土壁はこの効果があったのです、でも時代と共に使えなくなって来ました。

壁になる土壁は以前は田んぼのアマ土(一番上にある土)を退けて、その下にある粘土を摂って一年ほど耕運機などでかき混ぜながら、藁スサを混ぜながら発酵させ寝かせたものを使う事が出来た為に、壁に使用して乾燥した壁土は非常に強靭で、簡単には解体できません。

残念ながら、今は昔の壁に使用した土壁と同じことをしようとしても、コストが高すぎて現実的ではありません。

しばらく前までは、壁土屋さんがあったのですが、そんな一年もかけて手間暇をかけたものではなく、乾燥する段階で入ったヒビの隙間から、向こう側が見えるもので、とても強度があるとは言えない代物でした。

20年ほど前から断熱材で羊毛を使用する様になったのはその為です。(今では、ウレタン断熱材も使用する仕様もあります)人工的なウール状の断熱材は湿気を含むと乾燥することが大変で、新築から20年経った解体の現場では水を含んで団子みたいになったものや、煎餅みたいになったものがあります。

これでは、断熱材の意味がないのはわかりますよね。

羊毛は高いのですが、吸放湿効果が半永久的にありメーカーも60年保証です。壁の中に使う事で壁内が健全な状態に保つ事ができるのです。

羊毛の防虫剤のホウ酸溶液(オクトボー)の説明は、次の機会に説明します。

全ての仕様が長く快適に暮らしていただく上で必要と思われる素材にしたら自然の力って、すごいな〜って思うのです。

化学製品が有効な場合もありますが、基本的に人の触れるところは自然素材にすることによって長期強度と人に優しい家づくりができます。

機械の力に頼る事なく「素材の力で人の生活を豊かにしたい」家を建てて幸せになってほしいですからね。